「The MISSING: J.J. Macfield and the Island of Memories」クリア後感想
The MISSING: J.J. Macfield and the Island of Memories
邦題は『THE MISSING -J.J.マクフィールドと追憶島-』。
プレスリリース見て、ノリで買った。2990円はノリで出せる価格じゃないんだけど、後悔はしなかった。
4時間くらいでクリアして、収集物コンプリート目指しつつ総プレイ時間「17時間」を記録し、挫折した。海外の攻略記事まで見たけどダメだった……攻略記事が間違ってた……。チャプターごとの収集物取り逃し数とか表示して欲しいなあ。
「TheMISSING」は、主人公を半殺しにしながら進むパズルアクションゲーム。
首から上さえ残っていれば復活できるので、自らの腕を切り落としてシーソーの重りにしたり投げて物を落としたりできる。
このゲーム、女の子走りや女の子投げのモーションやボイスが非常にリアルで、冒頭瀕死になりながら復活したあと泣きながらトボトボ歩く様子は、主人公が完全にか弱い人間だと印象付けられる。
そんな主人公の腕をむやみに切り落とすなんてしたくないし、仕方なく自らを傷つけなければならなくても、その苦痛の時間を少しでも短くしたいと考える。火だるまになって悲鳴をあげ続ける痛々しいリアクションはその思いを強くし、結果としてプレイヤーは冷静さを失い、パズルに失敗してしまうだろう。
この傷つけたくない、という思いはパズルゲームとの相性が抜群で、「総当たりでやればいずれ解ける」という最善手を封じられる。とてもじゃないが「とりあえず生首にしとくか」なんてとても思えず、毎回「すまない……」と思いながら、主人公の悲鳴を聞いている。
なおかつ話が進むごとに過去のテキストチャットがアンロックされ、主人公は元は普通に社会性を持った人間だということがわかる。友人との談話内容が、主人公の人格を強調させ、そのたび現在の異常性を引き立てるのだ。
その残酷描写に気持ち悪くなりつつ、ストーリーに牽引されながら進めていくと、若干気になるところがでてきてしまった。
このゲーム、ストーリーが進むに連れて、パズルとアクションの難易度も上がっていくので、非現実的な世界に浸って次に進みたいときに限って、ちょっとしたミスで何度もやり直しをさせられるのは、非常に興をそがれてしまう。本当にもったいない。
このパズルアクションの噛み合わなさは、ストーリーが盛り上がってきてからピークになり、まさに「苦痛と再生」の描写で襲いかかってくる。
<ネタバレ>
主人公が絶望し、今まで助けようとしてきた彼女に襲いかかってしまうシーンで、プレイヤーが操作しないと進まないのは明らかに変。「こないで!」と言われれば行かないこともできるし、「やめて!」と言われればやめることもできる。しかしそれではゲームが進まない。私は同じ場所を行ったり来たりするだけの彼女とループするBGMに現実に引き戻され、正しい操作をした。そして、その苦痛から解放され、力を得てクライマックスの爽快感あるはずのシーンが、一番アクション難度が高くて一番死ぬっていう、悲しいことが起こってしまった。
要は、パズルアクションとしては正しいけど、ストーリーテリングとしてはひどい、という残念なものになってしまっている。キャラクターへの愛着とストーリーの盛り上がりをパズルアクションの難易度が阻害する。
インディだから仕方ない、といえばそれまでだが、もっと幅広くテストプレイしてもらい、製作者の思い通りにプレイしない、という点に配慮してほしかった。
とはいえめちゃくちゃ面白かったし、アートワークも含めビジュアルは本当に美しかった。世界観が気に入ればオススメ、という言葉では収まらない魅力があるゲームだった。
書いたとおり、最後だけ致命的なレベルでプレイ後の印象を悪くさせたんだけど、それでも冷静に振り返ってみると、いいゲームだったなと。良かったー。