ペルソナ5クリア後の感想

ペルソナ5クリアした。面白かった。

大体1ヶ月で80時間ぐらい遊んだわけで、結構やった。というわけで今回はクリア後の感想文です。ネタバレしますよ。

 

プレイ:運が良かった

全キャラのコープMAX達成した。かなりギリギリだったけど、あとで攻略サイト見たら「今作は余裕です」みたいに書いてあったから、狙ってやればフローチャートとかに頼らないでもできると思う。

自分が達成できたのは、女医と真っ先に仲良くなって、SP回復アクセサリーを買えたことが一番でかい。あれのおかげでパレスとメメントスを一日攻略できたから、他に時間使えた。それと川上先生とか占い師も強い。下心のままに行動してたらうまくいった感じ。

一方で、会話の選択がすごい下手だったと思う。ペルソナが全然仲間にならないし、コープイベントでももっといい選択肢があった疑惑がそうとうある。あと序盤かなり効率悪かったのと、気づけず放置してたシステムがあった。雨の日のファミレスとか、栄養剤とか青汁とか。

まあでもそんな時間管理意識しないでダラダラ遊んでても楽しかっただろうなとは思う。潜入道具とかキーピックしか作らなかったし、映画も仲間に誘われたときにしか行かなかった。

ちなみに女性キャラ全員と付き合いました。バレンタインイベントでボコボコにされて笑った。杏殿が「現実でもムチの使い方うまくなった」とか話してたけど、真先輩って拳だからさ……鉄拳制裁がさ……。そして主人公が気絶している間に、8人に対処して「俺が話つけてやっといたぜ」と言ってのける惣次郎はすごい。

 

 

ストーリー:気になるところもあるけど勢いでなしにしてしまえる

ペルソナ5は「悪い大人」「利用されるしかない子供」の対立、それと「大衆」という構図がずっと続く。

最初は「教師と生徒」だったのが、最終的に「神と人間」になる相当なインフレなんだけど、そんなことどうでもよくなるくらいの推進力がある。80時間ずっと次に進めたくなるのすごい。

「自分の人生は自分で決められる」というバックトゥザフューチャーみたいなメッセージを、ゲームの最後に主人公のカメラ目線で締めるくらいのテンションなので、そこまでに脱落してたら気に入らなかったと思う。

それを前提にした上で、という話なんだけど、インフレがきついということは初期メンバーの影がどうしても薄くなってしまう。

真先輩は参謀としてミッションすすめる度に作戦やリスク計算するし、冴さんとの関係もある。次の双葉のハッカーとしてチートすぎるし、母親とかの設定も大きい。すると相対的にそれ以前の4人が普通すぎることになる。

悪い大人側を空虚にしてて、「悪人も実はいい人でそうせざるを得なかった」みたいなのを意図的になくして、わかりやすく正義と悪の対立にしてる。

その割に、杏殿が鴨志田を改心させたあと「ふつうに断ってればよかったんだよね」とか言わせたり、獅童が凡人だったりオタカラが議員バッジだったり、中途半端に感じた。最後の「神と人間」の対立で、改心させた敵も守るべき仲間なのだみたいなことか?と思えなくないけど、そこまで考えられてない気がする。

あとは、メインシナリオがすごくいい割に、サブ(個人)シナリオにいいのなかったとか、「主人公と明智」「寅之助と獅童」みたいな対立を用意しといて、その程度しか触れないのかー、とか。

 

 

見た目:ペルソナ以外はすごくいい

キャラかっこいいし、雰囲気もすごくいい。BGMやエフェクトも素晴らしくて、戦闘時に総攻撃とか変に時間がかかるとか、戦闘後に経験値などが表示されるのが、最後まで飽きないで見ていられたのは相当すごい。全部がスタイリッシュで最高。


ただ一方で、ペルソナのデザインだけテンション上がらない。怪盗団のキャラはコープレベルMAXになったらペルソナが変化する。その時に新ペルソナを見たときに、テンション上がらさせてほしい。杏殿のヘカーテは少し好きだけど、あとは普通か「前のほうが良かった……」ってなった。

あとアニメが後半にいけばいくほど力尽きてる。オープニングくらいにして、あとはCGにしたほうがいいんではないかと勝手ながら思う。キャサリンのときもそうだった。



その他:ハードな題材と展開を扱っておいて繊細さに欠ける

このゲームは主人公が冤罪で捕まって、転校せざるを得なくなって、機嫌悪いおじさんのとこに連れてかれて、汚い屋根裏から学校に通って同級生から好奇の目を向けられる、という胸くそ悪いとこからはじまる。そこから悪い教師に目をつけられて、初めてできた友人とともに退学させられそうになるという、そうとう悲惨な部類に入ると思われる。

そういうハードな展開にしたいのはわかるし、それでこそ怪盗に目覚めるシーンが映えるのはわかる。

でも「志帆の体育教官室行き、そして飛び降り」の流れは、さすがにハードすぎると感じた。序盤でキャラを積極的に好きになろうとしてるときに、そういう目に合わされるとキツイ。

その上鴨志田の精神世界に行って、志帆と杏殿がどう見られているか目の当たりにするのは相当つらい。杏殿は現実で愛人みたいにされてて、妄想ではビキニで奉仕。そしてそれを見させられる杏殿の気持ちを思うと、かなりつらすぎる。志帆は……書きたくないレベル。

映画とかでも性的暴力とかあるから、ゲームでもオッケー!ってわけではないと思う。全体で80時間もそのキャラと付き合うことになるし、志帆の飛び降りまで何時間もプレイしてるわけで、キャラへの愛着が違いすぎる。比較にならないのはわかってるけど、映画シリーズの5作目で1作目からの仲間が自殺したらショッキングすぎるでしょう。

あと本当に意味不明なのが、鴨志田パレスで陰茎のビジュアルをした敵が出てくること。キャラの精神を反映させた敵がでてくるのはいいけど、別に他のパレスではふつうの中ボスなわけで、なぜ鴨志田だけ、そしてよりによってあんな敵にしたのか。ハッキリ言って不快だし悪趣味だ。その上なぜかラストダンジョンで再登場するし、その時なぜか仲間を引き連れてるし、弱点ないから変に戦闘長引くし、最悪すぎる。どういう意図であの敵を作ったんだろう。

 

そして三島。

一番気に入らないのは、わざわざ志帆が体育教官室に行くのを伝えるのを彼にさせているところ。志帆が飛び降りたときに錯乱しているし、そもそも鴨志田の暴力を受けていて言いなりになるしかなかったのは事実なので、本人も被害者でつらく感じているのはわかる。

じゃあ、なぜわざわざ三島に伝達係をさせたのか。鴨志田に直接言わせるとか、モブ部員じゃダメだったのか。あれのせいで、三島をほとんど加害者の一人として感じるようになってしまった。鴨志田のことを吐かせる都合としても、ふつうに飛び降りただけで十分だろと思う。

鴨志田を改心させたあと、すっかり人が変わったように「怪盗チャンネル作った!」「メイドさん呼ぼうぜ!」「俺たち友達だよね……」となるのも嫌だった。

志帆とは杏殿のサブシナリオでガッツリ触れている一方で、三島は「いじめられていた過去」との向き合いのみで、志帆のことは一切触れられない。別に一生かけて償えみたいには思わないけど、あまりに変わり身が早すぎるし、正直「なかったこと」にされてるせいで、三島を好きになれなかった。コープある人たちで、最後まで好きになれなかったのは三島だけだ。

あと三島はふつうに肯定して褒めないと好感度上がらないのもちぐはぐ。その選択肢を選ばせたいなら好きにならせてほしい。主人公たちも「まあ利用価値はあるし……」みたいな感じだし、修学旅行とかでいつの間に仲良くなったかわからないし。

この辺、ゲーム作ってる期間に大幅な方向転換があって、中途半端になったとしか思えないレベル。増築改築を繰り返した一軒家みたいな。


まとめ:完璧ではないけど魅力的

この感想文を書いた感想なんだけど、なんていうか、気に入らないポイントを書きすぎている。そして、それこそがこのゲームに感じたものが現れているといえる。

シナリオもグラフィックも音楽もエフェクトもすごくいい。だから勢いがあって、遊んでてすごく楽しい。でも、一旦ゲームから離れて冷静に考えてしまうと、ゲームとしての粗や配慮が行き届いていないポイントが気になってくる。

プレイしながらモヤモヤしてた部分を整理したくて書いてみたけど、もしかしたら整理しなくてよかったのかもしれない。ふだん一緒になって騒いでる友達についての評価をしつこく聞かれて「いやそら嫌なとこもあるよ? たとえば―――」と言われたような感じ。

嫌なとこもあるけどそれを上回って魅力的、というのは、嗜好品という意味でゲームとして正しい。いいゲーム体験だった。ペルソナ4ゴールデンはすでに持ってるので、いずれ遊びたい。